高校の先生方もこれは残念なようで、明後日(12日)もある高校に呼ばれて1年生を対象に理系の魅力を語る講演をする予定です。
ところで、今年の3月に開催された情報処理学会全国大会のテーマは「コンピュータの無い社会を想像出来ますか?」でした。このテーマについて大会委員長の喜連川先生が次のように語っています。
なぜそうしたことを考えたかと言いますと、学生のコンピュータ離れ、IT離れをどう食い止めるか、を真剣に議論すべきと思っているからです。(中略) 原因の一つは、コンピュータの重要性を肌で感じることが、かなり難しくなってきてしまっているからではないでしょうか。コンピュータのない社会なんてもはや考えられないのだけれども、あまりにも生活に溶け込んでいるので、逆にコンピュータが見えにくくなっている。実は私もそのように考えて高校生や大学一年生を対象にいかにコンピュータが使われているかをここ数年講演してきました。しかし残念ながら、訴えることの効果がどれほどあったのかはわかりません。聴講者からのフィードバックはもちろん得ていますが、コンピュータがそれほどに使われていることについて驚いたとか感動したとかいう感想はあまり聞かないのです。つまり、学生・生徒はコンピュータがたくさん世の中にあることを既に知っていたか、改めて聞かされても別に驚かないと思われます。たぶん言われなくてもコンピュータだらけな世の中であることは知っているでしょう。
これは、国民のほとんどがコメを食べていてコメは日本に不可欠なことはみんな知っているからコメ農家の人気が上がるかというと、そうでもない、ということに似ていると思います。
一方、工学部の広報をしていると、一番人気はロボットや宇宙のネタなのです。宇宙は役に立つとかそういうレベルを越えていますし、ロボットも役に立っているところでは立っているのですが高校生達は決して有益性に注目しているわけではないように思います。
やはり、大切なことは「夢」なんですね。大きな夢を語らないといけませんが…。
この記事へのコメント
tarumi
ナカムラさんのようにITに魅力を感じてくれる生徒もいますが、多数ではありません。不人気問題についてはまた今後もときどき書くことになると思います。今後ともよろしくお願いします。
本名ナカムラ
情報系は不人気とのお話、「えっ!?」という気持ちで拝読しました。部外者から見れば情報系はいま最も「はやそう」な分野で、iPad、iPhoneなどなど魅力的な商品も出ていますし、少なくとも不人気ではないだろうと思っておりました。以下の理由で情報系の技術は、人間の根源に迫っていると思っていましたので・・・。
自分がtwitterやSNS,ブログなどを見たりやったりしてつくづく思うのは、人間はいつの世も、人とつながりたいと思っている生き物なんだなぁーということです。ITの出現で人とつながる可能性は大きく広がったのは間違いない、ですよね。
そんな人間の根源的な楽しみ(もしくは切なる願い?)を支えている情報系は、使いこなせない(そして作れない)人間からは、とても魅力的に見えますが・・・。使うのと、技術として作るのとはまた違うということでしょうか。
乱暴な言い方をすれば「ITって出会い系」ですよね?(すべてのITがそうではないですが、あえて)。高校生に身近な出会い系、人と人とを結びつけるテクノロジーとしての魅力を伝えてみたい、と思うのは、素人考えでしょうか?
本当は少し省みるところもあり、ずっと拝読のみのつもりだったのですが思わずコメントしてしまいました。失礼いたしました。